鍵を開けて中に入りました。
「下駄箱がついているのはいいですね。」
中戸を開けて、中に入ります。日当たりがいい部屋です。
購入のとき最上階の角部屋も候補だったのですが、こちらの部屋の方が眺めがよく、あえてここに決めたのでした。ベランダを見るとすばらしい眺めが広がります。
「ああ、そうだ、この眺めが良くてこの部屋を買ったんだ。」
あの時は、外を見ながら不動産の所有者になるうれしさを感じていました。小さいけれども、自分は東京に不動産を持つんだ。
売却益目的で購入したのに、所有することのうれしさを感じていました。
外を見てから部屋の中を見ると、ほこりだらけです。破損箇所の修理もしていません。
現実に戻りました。ぞっとしました。
「引越しの後、清掃をしていませんね。自分でほうきとタオルできれいにするだけでも、部屋の感じは大分変わると思うのですが。」
歩くと靴下にほこりがつきます。
「この状態で募集をするのは常識ではありえないですね。」
どういうことでしょう、管理会社にその場で電話をかけました。